ハイテックハイ

教育の方法には大きく分けて、プロシア方式とプロジェクト方式というものがある。

プロシア方式 プロジェクト方式
終身雇用の専任講師 一年雇用(外部から毎年応募)
暗記型 探究型
教科書あり 教科書なし
科目別 科目融合
テストあり テストなし
成績表あり 成績表なし
プロジェクト発表なし プロジェクト発表あり

座学中心で、教科書があり、科目別に勉強し、どこまで覚えたかをテストする。

教師は、「その科目のみ」精通している、それがプロシア方式である。

まあ、普通の(これが普通だと考えている時点で今の教育に洗脳されているのだが)学校だ。

それにたいして、ハイテックスクールや世界の先進的な学校で取り入れようとしているのがプロジェクト方式である。

そこでは、教科書もなく、科目融合的で、テストもなく、成績表もない。ただ、プロジェクトの発表はある。

この学校は、ラリーローゼンストックの発案で設立された。

設立のコンセプトは極めて明快で、「生徒の知識の応用」を促すことだ。ハイテックハイでは、「学校内でゲームであそんでも構わない。自分で作ったゲームなら。」が評語となっている。

例えば、社会科の産業革命史のプロジェクトでは歯車装置で産業革命のなんたるかをプレゼンする。そうなると歴史だけでなく、物理学や数学やエンジニアリングの知識や技能を習得しないと発表日に間に合わなくなる。生徒は自発的に「探究」の旅を続けることになる。(教師がするのはアドバイスだ)そして学習の評価は、年に一度(あるいは数度)の発表会で行われる。そこには、保護者だけでなく、地域の一般のお客さんが大勢来る。

結果として、10年生(高校2年生)が石鹸会社を立ち上げて1万ドルをうりあげたり、中等部では揚力の学習のために凧をデザインしたり、小学生がサンディエゴ自然史博物館の展示のデザインをしたりした。

石鹸の製造から販売までおこなうとすると、化学・ビジネス・マーケティングの知識が必要になる。教師は必要に応じてアドバイスをする。

みなさんが興味があるのは大学の進学実績だろう。結論を言うとハイテックハイの大学進学率は抽選制であるにもかかわらず一般の高校よりも優位になっているらしい。なんと進学率は97%だ。(抽選を希望している母集団がもともと成績優位である可能性はあるかもしれないが、それを示すデータはなかった)

雑談が上手な先生のクラスの偏差値が高い

教科以外の話をする先生、雑談が上手い先生の偏差値が高いというデータがある。

このような結果がでる理由として二つの推論が成り立つ。

  • 生徒が授業に集中できるように授業のアクセントとして雑談をしている
  • 取り組んでいる授業の内容とそれがどのように利用されているかを結び付ける雑談をしている

後者は、現在の学校教育でできる精一杯のハイテックハイであろう。

例えば、素数の説明をするときに「パスワードの暗号化」と結びつけて話したりするのと、単に「素数とは約数が2個の整数である」と説明するのでは違いがあろう。

しかしながら、学校の教師が専門外の知識に疎いのは当たり前。極論すれば社会との結びつきが最も薄い職業の一つであるのでそのような教師を戦略的に増やすのは現制度の中では極めて難しいだろう。



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ホリエモンのゼロ高校

それに挑戦する形で設立されたのがホリエモンのゼロ高校だ。

個人的には、この高校はホリエモンの「好きなことだけをやってればいい」というのを微妙に修正した形であると考える。効率的な学びには、アドバイザーが必要であるという修正だ。

座学を目的とせず行動を目的とします。

ゼロ高では、在学中に多くの社会参画の機会があります。例えば、HIU(堀江貴文イノベーション大学校)へフルアクセスが可能です。その中で、村づくり、シェアオフィスづくり、イベント開催などに参加、主宰することが可能です。行動をすること、それがすべてのはじまりです。

ゼロ高では様々な分野で活躍されているプロフェッショナルから学べる機会があります。興味がある分野、知らなかった分野、多くの楽しんでいる大人を知る機会があります。世界を知ること、人物がいることを、説明会ではなく、実際の現場へ行き、知ることができる機会をつくります。

ゼロ高では、生徒へたくさんの機会を提供できるようにします。

ホリエモンはよく「上手くいってるところを真似ろ」とアドバイスをする。おそらくハイテックハイの成功を真似ているのだろう。

プロジェクトは有効

ハイテックハイやゼロ高校で実践されているプロジェクト思考というのは、実は企業では普通に行われていることである。数名から数十名の社員が、時間をかけて新商品の開発や新しい顧客の創造に取り組む。

AIやロボットが人間の仕事を代替するとなったときに、新しいものを作り出すプロジェクト思考というのは重要性を増す。人間同士の関係性を深めるソフトスキルも同じように重要になる。

プロジェクト学習は、学習意欲を高め、学習結果も高くなり、ソフトスキルも上がる。

この新しい教育の流れは、「世界」の大きな潮流になるだろう。

しかし、学歴ヒエラルキーに支配されている日本ではどうであろうか。

社会が、もっというと日本企業が、学歴のないゼロ高校の生徒を無条件に受け入れていくようにはならないだろうし、大学入試が変わらない限りプロジェクト学習のみで「上位の国立大学」に入るのは難しいだろうという現実だ。

「新しい潮流」と「現実」

いつだって時代の変わり目では「新しい潮流」と「現実」のはざまで揺れる。

革新的な者や、現実でつまはじきされている者は、この確実に訪れる「新しい潮流」に身を投げ出すことが出来る。ホリエモンの設立したゼロ高校に早々に入学した連中はそうであろう。

しかし、多くの平凡的な人間はどうであろう。そう簡単にどちらかを選択することはできない。

それでも、私たち親や指導者は自らがどういう立場であろうとも、「新しい潮流」があることを教えないといけないと考える。

幸い、他国と違い日本では1億を超える人がいる。国内市場で生活することも問題はない。100%今の「現実」に従い、日本国内で学歴ヒエラルキーをいかして生活する!という決断をしても路頭に迷うことはよほどのことがない限りないであろう。

あるいは、「新しい潮流」と「現実」をバランスよく取り入れていくという方法もあるだろう。

あるいは、今すぐ「新しい潮流」に賭けるのもよいだろう。

肝心なのは、子供自らが選択できるようにすることだ。大人は、国家はできる範囲でその準備をしなくてはならない。(国家が出来ることは規制を外すことかもしれない)

意識して選択する。どんな選択にもリスクがある。そのあと修正して挑戦すればよい。

ゼロリスク神話なんてないのだ。

 

 

 

 

 

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